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症例別FMT自閉スペクトラム症(ASD)

移植体験記<自閉スペクトラム症10歳男児>

自閉スペクトラム症(ASD)

2022.11.24

移植をされた患者さんやご家族の体験談やインタビューを紹介しています。年齢やお一人お一人の特性の違いによって、移植による変化も異なります。ご家族やご本人の体験や気づきを医療機関と共有させていただいています。主観的な記録は、大変重要であると考えています。同時に、客観的に変化を記録し、個人の感想に留まらない検証の蓄積が、医療として確立する道を開くと信じて取り組んでいます。

ASDの患者さんの声はこちらから

ルークス芦屋クリニックで移植をされた体験談をイラスト付きでご紹介します!
今回お話を伺った畠中直美さんは、3人の男の子のお母さんです。一番上の息子さんが自閉スペクトラム症(=ASD)と診断されたことをきっかけに、一般社団法人チャレンジドLIFE を立ち上げられました。現在は、障がいのある無しに関わらず、心地よく活力ある日々を過ごせる社会を目指すべく、様々な活動に取り組んでこられています。

はじめに

はじめまして、畠中直美です。

息子3人(10才、5才、2才))の5人家族で、10歳の長男が自閉スペクトラム症の特性をもっています。

そんな長男の困りごとが減るかもしれないと知り、この度「腸内フローラ移植」を受けました。

畠中家の体験談をご紹介します!

体験談では移植を受けた経緯や内容を詳しくお伝えしていきます。

全6回の移植を通して、さまざまな変化に驚かされることになりました。

腸内フローラバランス検査を受けるまで

私が腸内フローラ移植の存在を知ってから実際に移植を決めるまで半年以上かかりました。

理由は私自身が腸内細菌やフローラなどに対して知識がなかったからです。

「なぜ腸と自閉症がつながるんだろう?」と思っていました。

そんな私の心が動いたのは、腸内フローラ移植臨床研究会のセミナーに参加し、実際に移植をした娘さんのお父さんから体験談を聞いたときです。

そのお父さんは移植について次のように話していました。

(セミナー動画)「移植をするまでも娘は少しずつ成長してきました。でも移植をしたことによって、その成長の角度がぐっと変わったのです。何か一つが大きく変わったというより生活全体が変わったことを感じました」と。

娘さんは感覚過敏の特性を持ち、特に音に対して過敏だったそうです。

ご本人は「ディズニーランドに行きたい」と言うけれど、 「こういう状態だから飛行機は無理だろう」と長らく諦めていたにも関わらず、移植後に飛行機に乗れたそうなのです!

耳をふさぐことなく飛行機に乗り、さらにディズニーランドでとても楽しそうに遊んでいる姿を見て、お父さんは感動したとおっしゃっていました。

成長の角度がぐっと上がったことで「無理だ」と諦めていたことが手に入ったというお話がとても印象的でした。

思い返せば私も長男の可能性について「今は無理」と決めつけていることが多々ありました。

例えば、毎日のお風呂に入る時のぐずりや癇癪、気持ちの切り替えなど。

「成長しても、同じ状況がずっと続くんだろうな」と、私が長男の限界を決め、無意識のうちに勝手に小さな箱に入れてしまってることがあったように思います。

この移植をすることによってその思い込みが外れ、長男の可能性が広がったり、想定していない何かが手に入ったりするかもしれない。

また、長男自身にとっても、生活が穏やかに楽になるのではないか。そう考えるようになりました。

検査をするかどうかを考えていたのは、ちょうど小学校卒業後の進路を考えるタイミングでもありました。

私達夫婦が想定している長男の進路は「本当にこれでいいのかな?」そんなことを考える日々でした。

検査や移植をすることによって情緒が落ち着き変化が出て、今とは違う進路や未来が想定できるかもしれない。

だからこそ、この大事な局面に「今できることは後回しせずにやっておきたい」と思いました。

どうしようかとずるずる悩み、数年後に「やっぱり移植しよう」と思うよりも、今このタイミングで動き出したい。

今の生活の延長線上では見えないことが移植をすることによって手に入るなら「やってみたい」と思ったのです。

セミナーでの体験談を聞いた後、「移植ってどうやってするの?」「クリニックは連れて行ける場所にあるの?」「費用は?」などの具体的な算段をし始めました。

移植にかかる金額は決して安くはないですが、夫にも説明して同意をもらうことができました。

我が家はこんな経緯で最初の検査に向けて一歩を踏み出すことになりました。

うんちの検査について

便移植へ向けて一歩踏み出すことになった我が家。

腸内フローラバランス検査の申込みをすると、まずは問診票などに長男の性格や特徴など、細かい項目を記入していきます。
便移植用のオーダーメイド便を作る際にも、これら提出した情報が活用されるそうです。

腸内の状態を詳しく知るために採便が必要!ということは良く分かるのですが、息子の特徴を考えると「うんちを採るのはハードル高そう!」と思っていました。
実際に長男は「ママにうんちを見せるの、いやだ」と予想通り全力で拒否!

息子が採便を拒否した事を研究所の方に相談すると
「まずはうんちと仲良くなるところから始めてください。うんちは汚いものではなくて体の状態を教えてくれる、大切なものなんだよ!」
と伝え続けてみてください。と声をかけて頂きました。

家族内でうんちの話題を意識的にするようになると、少しずつ「うんちって汚いものじゃないんだ。いいこなんだ。」と息子が言い始め、ついに「ママが見たいんだったら見てもいいよ」と採便に対して本人の同意をもらえました。

そのタイミングで「じゃあ、次、うんちが出そうになったら教えてね。ママはうんちを病院に送って、あなたがどれくらい元気なのかということをみてもらいたいんだ」と伝えました。

そしていよいよ採便のときがやってきました。

休日の朝に「うんちしたい」と私に告げる長男。

「よっしゃ、きた〜!」とやる気満々で採便キットを手に一緒にトイレに入りました。

でも、いざ便器に採便シートを取り付けると「いやだ!!なにこれ?怖いよ。座りたくない。いやだ!」と拒絶すること30分弱。

「これ、薄いから大丈夫だよ。座るだけだから」「絶対いや!!!!」の繰り返し。

最終的には、便意が我慢できなくなり、息子はしぶしぶ便座に座りました。

しかし、いったん座ったら、本人もお尻に全く違和感がないことがわかり、

「あっ。大丈夫だ。」

と言って楽にうんちを出すことができました。

そこからは急にテンションが上って興味津々の様子。

2人でうんちを覗き込み、「うんち、出たね♪」とにっこり笑いました。

あとは私が採便キットでうんちを採り腸内フローラ移植臨床研究所へ採便の翌日までに発送するだけで完了!

トイレの中での押し問答はありましたが、終わってしまえばあっという間という印象です。

本人も1回体験してしまえば、次回は大丈夫と言っているので一安心。

こんな感じで最初はハードルが高いと感じた採便も無事終えることができました。

初めてクリニックへ行く

最初の採便キットを送り、しばらくすると、「検査結果が出ましたので、息子さんと一緒に来てください」と病院から連絡が入りました。

検査結果が知りたくてワクワクする思いと共に、病院が大嫌いな長男が、病院内で落ち着いて過ごせるだろうかと不安になってきました。

どんな病院なのかな?息子は嫌がらないかな?

そんな不安な思いのまま病院から届いたカルテ記入の項目を見ました。しかし、その内容を見た時に「あ、だいじょうぶかもしれない」と思えました。

そこには長男が病院内で過ごすにあたって気をつけてほしいこと、対応してほしいことなどを書く欄がたくさんあり、病院側の心配りを感じることができました。

例えば距離感について。

長男は緊張しているときは話しかけてほしくないし、近づいてほしくない。緊張時には、いくら相手が笑顔だったとしても、近づかれることそのものが負担になるようです。

「病院に入った直後は緊張している可能性が高いので、落ち着くまでは息子に話しかけないでください」
「近付き過ぎず、少し距離をとってください」
「まずは私に話しかけてください。その時、息子が少し落ち着いていてコンタクトが取れそうだったら、私が促しますので、息子と直接やり取りをお願いします。」
などしっかり事前に伝えることができたことが、私にとっては大きな安心材料となりました。

そして病院に行く当日。 本人には「うんちを先生に見てもらっていろんなことがわかったから一緒に聞きに行こうね」と伝えて車で病院に向かいました。

長男は、機嫌よく車に乗りこみ向かったのですが、いざ車から降りて病院を目の前にすると怖くなって足がすくんでしまいました。ゆっくり時間をかけ、恐る恐る病院内に入りました。

しかし病院内に足を踏み入れた瞬間、私は驚きました。イメージしていた無機質な病院の空気はなく、待合室がとっても温かい雰囲気で、なんだかホッとしたのを覚えています。

そして、事前にお願いしていたことがしっかりと守られていて「発達障がい児の対応に慣れている病院だなあ」と安心しました。

例えば手指のアルコール消毒をするとき、直接長男には言わず私に「息子さんに消毒をお願いできますか?」とゆっくりと小さめの声で伝えてくれました。決して長男を無視しているのではなく、ちゃんと長男の様子を見つつ、にっこり寄り添いながら対応してくれる感じです。

長男は、緊張しながらも周囲の状況をよく見ています。そのため完全に無視されると、それはそれで居心地が悪くなるのですが、この場所の人たちはちゃんと自分のことを肯定的に見てくれている人たちだとしばらくすると理解した様子でした。

採便の結果を聞く前に「ゲインズファインダー」という装置を使った検査がありました。

これはモニター上に映し出される、人物の写真やくるくる動く無機質な図形イラストなどを通して、画面上のどこを何秒見たかというデータから視線の動きをはかる装置です。

この検査により、自閉症傾向があるお子さんの今の状態や興味を客観的に評価できるそうです。長男の状況を客観的データから正確に把握するという手法が新鮮で、息子についての理解が進む気がして嬉しくなりました。

いよいよ、ゲインズファインダー検査の後、採便の結果を先生から詳しく聞くことになります。

検査結果と便移植について聞く

ゲインズファインダーの検査を終えた後、先生より長男の便検査の結果を聞きました。

カラフルな色のグラフで示された膨大なフローラバランスデータを見ながら、一つ一つ丁寧に説明してくださいました。私は「便を調べるだけで、こんなことまでわかるの?」と、とにかくびっくりの連続でした。

長男の場合、菌の多様性があること。そして同時に、自閉症の子たちに多いと言われている、攻撃性を抑える働きをする菌、いわば炎症を抑える菌が多いということもわかりました。 そして、検査結果からわかった事をもとに、意識して食べるとよい食べ物など食事に関するアドバイスも頂きました。

「食生活で、何か困っていることはありませんか?」と聞いてくださったので、私は長男の食事量が多く、食べすぎなのではないか?と相談してみました。

すると「菌の状態や多様性もあるので、そんなに神経質に考えなくていいですよ」と言ってもらいホッとしました。 先生が「検査から多くのことが分かったので、ここからできることを一緒にやっていきましょう」と言って下さったことが印象的で、長男がどうしたら生活しやすくなるだろうかと真剣に考えてくださっていることが伝わってきました。

その後は便移植の流れや詳細、費用についてなど詳しく説明を受けました。

先生は「便移植をするかどうか、この場で決める必要はないのでご家族で相談してからの返事でいいですよ」と言ってくださいました。

便移植ありきで話を進められるのでなく「便移植が不安な場合は、時間はかかるかもしれないけれど、腸に良い食品を効果的にとりながら腸の状態を変えていくこともできますよ」と言われたことも印象的でしたし、「不安なことがあったら何でも聞いてください。何回でも来てくださいね。何に対してもお答えします。」という言葉が心強かったです。

便移植は、日本ではまだまだ認知度が低く、私には想像できない部分も多々あります。だからこそ、通院を通して「この先生を信じられるか?」ということが私の中では大事なポイントでした。そのような視点からみても、先生の話には説得力と安心感があり「この先生にお任せしたい」と思うことができました。

お話を全てお聞きし、私は便移植をお願いしたい。息子と取り組んでみたい。と強く感じました。

便移植は次回の通院から開始します。そのため、事前に不安な点をこの日すべて確認して解消できたことが、私にとっては重要だったと思います。

初めて腸内細菌(叢)を移植する

便移植を行うことを決めて書類などの手続きを終え、いよいよ便移植の日が近づいてきました。

今回は、今までのような簡単な検査だけの通院とは違うため、事前に便移植を行うことを長男へ伝えたうえで病院へ連れて行こうと思い、言葉を選びながら便移植について長男へ説明しました。しかし、これが長男の不安をあおってしまいました。「お尻から何かされる。怖い!」と、病院へ行くことを全力で拒否してしまいました。

当日、なんとか説得して病院に到着したものの、入り口で20分座り込んで「怖い。病院へ入りたくない」と動かない息子をあの手この手でなだめすかし、なんとか待合室へ入ることができました。

全身に力が入って明らかに緊張している長男と、長男の様子を見て不安いっぱいになってしまった私に対し、看護師さんたちは慣れた感じでニコニコ対応してくださいました。

長男は、待合室には入れたものの、そこから頑なに動こうとしません。そこで、前回の通院時に長男の対応をしてくださった看護師さんが、診察室から血圧計を運んできてくださいました。そして待合室で楽しく話しながら血圧を測っていると、徐々に長男の緊張がほぐれ、少し笑顔も見られるようになりました。そんな長男の変化をゆっくり見ながら、看護師さんが徐々に処置室へと誘導してくださいました。

処置室へ移動できたものの、いざベッドを目の前にすると、長男は涙目になり部屋から逃げだそうとします。

ここでもずいぶん時間をかけて長男を説得したのですが、「嫌だ!」と言い続け身体から力は抜けません。

その様子から、長男が自ら進んで処置を受けるのは難しいと、私、先生、看護師さんで判断し、タイミングをみて力づくでも長男をベッドに寝かせ便移植を決行することに決めました。

今振り返ると、本当に素早いチームプレイだったなあと思います。長男がふと処置ベッドに座ったその瞬間に、長男をベッドに寝かせて押さえ「今からお尻に入れるよ!」と便移植を決行しました。

当然、本人はびっくりして大声で泣き叫びましたが、そのまま2~3分程度、おとな3人で押さえて決行です。

移植用の便は専用の液体で薄められており、点滴パックのようなものに入っています。その茶色い液体が入っているパックからつながる管の先に柔らかいゴムがついており、その柔らかいゴムの管をお尻に入れます。

移植と聞くと大がかりですが、スムーズに進めば2分もかからない処置でした。

おそらく、長男の場合は痛いというよりも、お尻に何かをされているという恐怖感でパニックになり大泣きしたのではないかと思います。実際にお子さんが便移植を受けた他の保護者の方は、「タブレットで動画を見ながら子供がベッドに横になっていたら、あっという間に終わってニコニコしていましたよ。」と話してくださいました。

ちなみに長男も、便移植が終わってしまえば、さっきまで泣き叫んでいたのが嘘みたいにケロッとしていました。「ちょっとおしりがモソモソする」と表現していましたが、1時間後には「おしり大丈夫になった」と笑って言っていました。

便移植は、1度で終わるのではなく、期間をあけながら何度か通院し行います。長男も、1回目の処置こそ大暴れでしたが、回を重ねるごとに痛い処置ではない、すぐ終わるということが分かってきて、落ち着いて便移植を受けることができるようになりました。

便移植をすること自体が「うちの子には無理だ」と考える方も多いと思います。

我が家も初回は本当に大変でしたが、それでも処置は数分で終わります。大変なのはほんの数分間。その数分間も親ひとりで頑張るのではなく、先生や看護師さんたちが全力で助けてくれます。

私は毎回「とりあえず病院に行くことができれば、先生方が助けてくださるから大丈夫!」と自分に言い聞かせて息子と通っていました。

そして、初めての便移植を行った次の日の朝のことです。

いつもなら、長男が一番に起きてテレビをつけ、アニメを見ながら私が起きてくるのを待つのですが、この日は1階からテレビの音が聞こえない。

「あれ?まだ寝てるのかな?」とリビングに向かうと、机に向かって、ご機嫌に学校の線つなぎのプリントをしていたのです。今までになかった光景を目にして本当にびっくりしました。ここから今までになかった変化がたくさん起きました。

便移植と並行して、SRS-2(対人応答性尺度)チェックシートを記入します。このチェックシートを通し、子どもの変化を細かく見ていくことができます。

例えば「ひとりでいる時と比べて誰かと一緒にいると、そわそわして落ち着かない様子である」というような問いに対し、子どもの変化をチェックしていきます。これら65項目の質問を通して、我が子の変化を客観的に振り返ることができます。

全ての便移植を終え、改めて感じる事は、思い切ってあのタイミングで便移植を実施してよかったということです。便移植を通して様々な嬉しい変化が長男に起こったのと同時に、長男の日々の言動が穏やかになったなあと思います。

イライラして癇癪が発動すると、対応する親も大変ですが、きっと本人が一番しんどかったのではないかと思います。そう思うと、今は勉強に対しても日常に対しても、穏やかに、本人にとって楽に向き合えるようになっているのではないかと思います。

長男のお腹の中に入った応援団としての菌たちが、これからも元気に生き続けてくれますようにと願いつつ、これからの長男の成長を楽しみに共に過ごしていこうと思います。

移植後の変化

お風呂に入る前のゴネが少なくなった

「あれ?少し落ち着いてきたかも?」

移植後、まず感じたことがお風呂に入るまでの気持ちの切り替えができるようになってきたことです。

以前は晩ごはんを食べてからお風呂に入るまで、なかなか動けなかった長男。

それに対して私がイライラすることも多かったのです。

でも、移植後2回目くらいからそのストレスがかなり軽減していることに気がつきました。

「お風呂、面倒くさいな」という様子は感じられはするものの、今までみたいに「絶対入らない~~!!!」と叫んだり、手元のおもちゃを投げるなんてことが少なくなってなってきたのです。

「いやだ」とは言うけど、ちゃんと話をしたら「わかった」と、自分からさっとお風呂場に行くことの回数が多くなったのです。

あんなに大変だったお風呂タイムはいつの間にか「すごく大変」と思わなくなっていました。

「日常生活がちょっと楽になってきたかも」と思い、移植後、今までにない速度で変化していく長男の様子を感じました。

お風呂あがりのデザートタイムを再現

(便移植前半のこと)

お風呂あがりにみんなで冷えたぶどうを食べるのが我が家の習慣。

いつもは私が人数分をお皿に取り分けて出すのですが、ある日お風呂で体を洗っているときに長男が「お風呂から先に出てボクがやる」と言いだしました。

今までになかったことなので驚きつつも「やりたいならやってみな」という感じで長男だけ先にお風呂から出してみました。

お風呂から出てテーブルを見てびっくり!!私が想像していたより完璧にいつものデザートが準備されていたのです。

ぶどうは買ってきたばかりでパックに入っていたので、まずは洗う必要がありました。
お風呂から出るタイミングで長男に「ぶどうは洗ってね」と言ったけど、彼はどうするんだろうかと内心では思っていたのです。
(結局、洗う手順がわからなくて「ママ、できなかった」と言うんじゃないかなと思っていた私。)

ところが長男はぶどうをパックから出しザルを使って洗い、人数分のお皿に分けてくれていたのです。
そして残りのぶどうはちゃんと冷蔵庫に戻されていました。

さらに三男のお皿だけをプラスチック製のものを選んでいることに気がつきました。
自慢げに私に向かって「Kくん(三男)のお皿、割れないよ」と言いました。

今までのお手伝いでは一連の作業ができなかった長男が、見事に我が家のデザートタイムを再現してくれていたのです。「ここまで色々なことを理解できてたんだ」と思ったできごとでした。

ヒーローショーで気持ちの切り替えができるようになった

今年の春はウルトラマンや仮面ライダーショーによく出かけました。

ショーが終わった後はいつも興奮状態で「帰りたくない」と大暴れしていた長男。

会場を後にするときも係員数人に助けてもらい、やっと外に出るという感じだったのですが、今年の春はどこの会場でも長男に対して手こずることが無かったのです。

ショーが終わるときは悲しすぎて「またウルトラマンに会いたい」と涙を流しつつも自分の足で移動できたのです。

ヒーローをもっと見たいけど今は移動しなくてはいけないんだと頭ではわかってる。
長男の心の中で葛藤している様子を感じていました。

以前はヒーローショーに連れていくだけで疲れていた私たち夫婦。
でも今年の春は「これぐらいの大変さなら全然平気♪」と思えました。
これは長男の変化のおかげだと思います。

運動会のリレー

特に長男の変化を感じた今年の運動会。

去年までのリレーでは「走れない」と言い、皆の半分の距離だけ走り、バトンを次の子に渡してました。

長男の次の走者は足が早い子が待機しその子が長男の分と合わせて1.5倍走るという感じでした。

それでも上手く走れないから本人はリレーが辛かったみたいです。
「走れない。遅いから。いやだ」みたいな。

でも、なんと今年は初めて皆と同じ距離を走ることができたのです!

決して速くはないし、抜かされたりもするのだけど私の目から見ると「今までの姿とは全然違う!」と思いました。
それは、抜かされまいと頑張っているのが伝わってくる走り方だったのです。

「皆と同じように走って、バトンも上手く渡せてる!」
一生懸命に走る息子の姿を見て感動し、ポロポロ涙がこぼれてきました。

※移植による体感や変化は個人によって差があります。畠中さんの体験などは「ゆるっと菌たちと座談会」で配信しています。

関連サイト

医療従事者向けサイト

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