自閉スペクトラム症のお子様(6歳男児)のご家族の方にお話を伺いました。
移植を終えて、学校の先生からも、コミュニケーションがとりやすくなったとお話があったとお喜びの声をいただきました。目を見て話すようになったり、天気に左右されなくなったり、「移植後の変化に驚いています」とお話してくださいました。
【プロフィール】
6歳 男児
H君
疾患名:自閉スペクトラム症
移植期間:
2021年5月11日~9月14日
移植担当主治医:かわい内科クリニック
(かわい内科クリニックの記事一覧はこちら)
移植後の診断:症状の明らかな改善
Q1.腸内フローラ移植を受ける前は、どんな症状でお悩みでしたか?
腸内フローラ移植以前に栄養療法に取り組んでいたので、順を追ってお話ししますね。
興味をそそるものが目に入ったらパッとその方向へと走っていく。こんなふうに息子は、少しもじっとしていない子どもでした。
気持ちの切り替えがうまくできず、人やモノにあたることも。第三者の気持ちを察することも得意ではなく、そのためか先生やお友達に急に抱きついたり、時には押したりして相手を困惑させていましたね。抱きつく・押すといった行動は、一歩間違えれば相手のケガにも繋がります。お友達やその親御さんとトラブルになりかけたこともあり、精神的につらい時期もありました。
排便も悩みの一つでした。便意はあるはずなのですが、息子はそれを便意だと理解していないようで。そのため体や服を汚さないよう、いつもオムツを履かせていました。
Q2.「移植を受けよう」と思った決め手はどのようなものでしたか?
息子を通わせていた療育園で出会った親御さんとの情報交換で、腸内環境と自閉スペクトラム症には何らかの関連性がありそうだ、と感じました。
そこからいろいろ調べて、「これは」と思えたのがオーソモレキュラー栄養医学です。
住まいの近くで実践しているクリニックを探したところ、かわい内科クリニックさんがヒット。これが川井先生とのご縁のはじまりでした。
先生のもとでまず挑戦したのが、訪問動機でもある栄養療法。処方してもらったお薬を飲ませると、息子にさまざまな変化が現れました。
一つは排泄です。2日に一度の排便ペースを問題だとは思っていませんでしたが、形と色が違う。黄土色のきれいな便にびっくりしました。
自分の興味範囲だけ、といった様子から他者に関わろうとする姿勢も見られるように。
あとは寝つき。夜、眠ろうとしない息子を無理やり寝かしつけていたのがウソのように、眠くなったら布団に入りたがるようになったんです。
こうした数々の成長から腸内環境の重要性を実感。この段階で十分満足していたので、川井先生から腸内フローラ移植のお話をうかがった時は、受けるかどうかとても悩みました。
移植へ踏みきったきっかけは、先生が教えてくれた「体から悪いものを出す3ステップ」。
息子をこのステップにあてはめると、解毒は3段階あり(フェーズ1~3)、最後の便通がうまくいっていないので(フェーズ3)、「便で悪いものを排出する」ステップが弱く、そしてそもそもASDでは、腸内フローラの異常が大きな問題となっているそうです。これを解決に導く最善策の一つが腸内フローラ移植ですよ、というお話でした。
もう長いお付き合いで、息子のことをよく知ってくださっている川井先生のご提案です。最後は先生への信頼で、移植を受けようと決めました。
Q3.移植を受けてから、体にどんな変化を感じましたか?
効果は移植中から現れました。まず排便。便意が分からなかった息子が、「うんち」などと伝えてくれるようになったんです。
便自体の形、色もますますきれいになりました。
栄養療法後の便は、一番はじめにプロバイオティクスを飲みだしたときは便がキレイになったのですが、それからは色や硬さが安定しない時期もあり、移植をしたことによりかなり便の色も硬さも変わりました。移植後と比べると硬さが足りなかったんだなあ、と思います。
悩ましいトラブルのタネ、抱きつく・押すといった行動が少なくなった点にも、本当に感謝しています。思えばこうした問題行動の原因は、息子に他人を思いやる気持ちが足りていなかったことにあったのかもしれません。 急に抱きつかれたらびっくりする、押されたら痛くて悲しい、そんな相手の心が分かるようになってはじめて、抱きつく・押すではなく名前を呼ぶ、といったコミュニケーションを選べるようになったんでしょう。泣いているお友達がいたらなぐさめることまでできるようになりました。想像を超える成長に、驚かされるばかりです。
Q4.最後に
栄養療法を始めたころから、食事や運動には気を使っていました。
野菜は食物繊維を多く含む根菜類を多めに。肉と魚はバランスよく。グルテンフリー、カゼインフリーを優先して、加工食品や農薬を使った食品は避けてきました。
毒素排出をもっと促すために、肌からもミネラル摂取ができる入浴剤を使っています。
移植前はこうした環境整備を「できる範囲でやろう」という気持ちでしたが、腸内細菌を受け取った今は「この菌を守るために、もっとしっかりサポートしよう」という思いに変わりました。
こうした私たちのサポートを受けて、息子は4月から小学校へ入学し、日常生活を元気に楽しく送れています。ゆくゆくは手助け無しでも元気で楽しく過ごせるようになってほしい。それを阻む負担は全て取り払ってあげたい。2つの治療を受けた今、そう強く思っています。