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ブログ記事

腸内細菌(叢)の移植菌液はどうやって決める? 検査結果より大事なこと。

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2018.05.02

次世代型腸内フローラ移植

有難いことに、当研究会に腸内細菌(叢)の移植のお問合せが増えています。
特に増えている腸疾患、アトピー・アレルギー、うつをはじめ、難病をお持ちの方まで可能性を感じてお問合せしていただいています。

お問い合わせいただく方の中には、アメリカ人や中国人の方もいます。

また、移植に臨まれる時に、「フローラバランスの検査結果待たなくていいの?」というお問合せもいただきます。

現在、累積の移植実績が多くなり、傾向がわかってきたことから、事前の腸内フローラバランスの検査結果が移植菌液の調整時に影響することはほとんどありません。

ただし、海外で生まれ育った方や、当研究所で経験のない疾患にかかっていらっしゃる場合、検査結果が出るまで1ヶ月ほどお待ちいただく場合もあります。

オリジナルフローラバランスというと、検査結果が出て、それに対して菌液を調整していると思われる方が多いのですが、同じフローラバランスでも、移植菌液の調整方針を変えることがあります。

フローラバランスを見なくとも、必要な菌がわかります。

そもそも、国内外で行われている「糞便微生物移植」の概念について話します。

そもそも「糞便微生物移植」という方法の考え方

糞便微生物移植

国内で臨床治験が行われている糞便微生物移植のドナーは、基本的に二親等以内の健康な人とされています。(一部の大学病院では規制を解除)

海外ではもっと研究が進んでいて、ドナーバンクが存在する国もあり、便を売って生活をしている方もいます。

現時点では、国内外に共通した考え方として「病気のフローラバランスに健康なバランスを入れたらいい」という考え方で行われています。

病気にかかったときに腸内フローラバランスが一定の崩れ方をしていることは研究で明確になりつつあり、どういう崩れ方でも、普通のバランスに戻したら治るという認識です。

例えば、病気の腸内フローラの状態が、「沸騰しているお湯」や、「半分凍っている水」とします。
それに対して、常温の水を加えると、常温に近い水になるイメージです。

腸内フローラ移植臨床研究会の方法は、ほんの少し違っています。

オリジナルフローラバランスの実現に最重要なのは○○

問診

沸騰しているお湯や、半分凍っている水を、常温の水を加えることで常温にすることは、やや効率が悪いです。

沸騰しているお湯に氷を入れるか、半分凍っている水に沸騰しているお湯を入れたほうが良いのではないか?

こういうイメージで、菌液を調整しています。

そのためには、いろんなパターンのドナーが必要です。

ボランティアドナーになってくれる方は、自分で受けると何十万円の検査が、定期的に受けることができます。
(2018年9月時点、新規ドナー募集はしておりません)

移植菌液を調整する時にいちばん大事なことは何か?

それは、「医師による問診」です。

腸内フローラ移植臨床研究会の問診票はとても長いです。

普段の食生活・睡眠・嗜好をはじめとした生活習慣はもちろん、
ご本人の自覚されている性格、周りからの評価、話し方、考え方
これまでにかかったご病気、日常で感じる違和感、
ご家族構成、ペットの有無、住環境、ご職業、
過去にあった大きなストレスまで、時間の許す限りできるだけ多くその方を取り巻く情報をいただき、構築することで、全体のイメージをつくります。

移植をお受けいただくときは、移植前も、移植期間中も、主治医の先生にたくさんお話ししてください。

そして移植中は、ご自身の身体に起こる小さな変化の連続を楽しんでみてください。

「病気が治るか否か」だけに焦点を当てすぎず、
「朝の目覚め」、「食の好みの変化」、「疲れやすさ」、「うんちの状態」など、身体に次々と変化が起こるはずです。

そして、移植した腸内細菌を歓迎する生活を続けていただくことも大切です。

検査結果が必要になるタイミング

検査結果

そんなふうに、移植初期の移植菌液バランスを決定し、患者様の状態に合わせて濃度を調整して移植を行っていきます。
(参考:腸内細菌(叢)の移植の菌液写真公開! どれくらいの菌がいる?

そして、1クール終了後、場合によっては1クールの期間中に、移植菌液のバランス微調整が必要になることがあります。

元気になっていただくまでの過程を何段階かに分けている場合、「最初の何回かで初期の目的は達成したので、次のターゲットに狙いを定めましょう」と微調整を加えます。

このように、「一旦移植を終えて、考察を試みるタイミング」で、結果が重要になってきます。
「このフローラバランスで、この菌液で、この反応というのは……」と、症状として現れているものの原因が、例えばホルモンバランスの崩れによるものなのか、初期の腫瘍によるものなのかがわかることもあります。

さらに、必要に応じて病院での血液検査などの結果も照合します。

ちなみに、うちの菌職人には特技が3つあります。
患者さんの情報を隠して、フローラバランスだけ見せると、その人の症状と性格を言い当てる。

逆に、患者さんの情報だけ伝えてフローラバランスグラフ作ってもらうと、結果出た時にだいたいあたってる。
これ、さらっと書いてるけど、めちゃくちゃすごいと思いませんか?

今までお話ししてきた、

基本的には、健康な腸内フローラをいれるという考え方。そこに、問診による情報により、オリジナル菌液にするこの特技のおかげで、結果を見なくてもその人にピッタリの菌液を調整できています。

腸内フローラバランスの結果は?と気になる方が大半だと思いますが、検査結果はお見せできません。

腸内フローラバランスの結果がすべてを反映していないため、同じような結果でも、性格や生活環境の違いで、調整が変わります。

それぞれの菌の解説がまだ確定的でないこと、読み解きが難しいこと、検査結果の出し方が他社の特許であることなどがその理由です。
研究目的のために、移植前後の便検査への協力をお願いをしています。

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