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症例別FMT自閉スペクトラム症(ASD)

患者さんの声「癇癪の時間が少しずつ短くなっていった」

自閉スペクトラム症(ASD)

2023.08.01

自閉スペクトラム症のお子さんのご家族に、患者さんの声をいただきました。

「成長が加速した実感があるので、金銭的な問題がなければ移植をする価値はあると思う。」とお答えいただきました。

【プロフィール】
男児
疾患名:自閉スペクトラム症
移植期間:2021年7月31日~9月4日,2021年11月27日〜2022年3月5日 
移植回数:6回、追加3回 
移植担当医療機関:医療法人喜和会 喜多村クリニック

Q1.当研究会の腸内フローラ移植を受ける決め手となった理由は何ですか?

息子が通う保育園の先生が、自分のお子さんにされており効果があったので、勧められた。今の状態より少しでも良くなる可能性があるなら、やってみたいと思ったから。

Q2.移植申込から移植終了後まで、医療機関の説明やサポートは十分でしたか?

水素水を飲用することを勧められたが、水分をあまり飲まないので飲用させることが難しかった。事務局に相談したとき、「いろはす」を勧められたが検査で糖分の取りすぎを指摘されていたので飲用にためらいがあった。水分をとられる方は問題ないと思うが、ASDで必要性の理解が乏しく、水分を飲みたがらない場合の対応について検討が必要と思う。

また、移植をするたびに問題行動の軽減や様々な成長はあったが、硬便になり排便コントロールが不良となったことに対する対応についての検討が必要と思う。

前述に関しては、小児科のかかりつけ医に相談し毎日下剤の内服をすることで対応している。

Q3.移植を経て、お悩みのご症状がどのように変化しましたか? 

移植前は、人に向かって物を投げる、癇癪が40分続く、切り替えが極端にできない等の問題行動が顕著であった。初めての場所や人が多い場所では、パニックを起こし泣きわめいたり、床に寝そべって暴れることがあり、人の多い場所には行くことができなかった。トイレットトレーニングが全く進まずに、常におむつをしていた。言葉があまり出てこないので、自分の思いを伝えられずにイライラしている様子が多々あった。親も、息子に振り回されて疲弊していた。

移植開始後、回数を経る毎に言葉が少しずつ多く出るようになってきた。自分の見た現象を言葉にできるようになってきた。人の多い場所に行っても、パニックを起こすことなく一人で歩いて周りの様子を楽しむ姿がみられるようになった。家族で外出ができるようになってきた。切り替えは上手にできないので、大人がうまく誘導することで移植前より切り替えることができるようになってきた。癇癪の時間も少しずつ短くなっていった。物投げ行為は続いているが、人に向かって投げなくなった。トイレに誘導し、トイレで排尿する回数も増えて移植開始2か月後にはほぼトイレで成功できるようになった。妹を気にする言動や一緒に遊ぼうとする姿がみられるようになった。おもちゃの取り合いになったとき、妹におもちゃを貸すこともできるようになった。

移植終了後は、癇癪や切り替えの難しさは残っている。癇癪は、5〜10分で落ち着きを取り戻し、以前よりはるかに短くなった。切り替えは別の話題へ逸らすことで、こだわりすぎずに切り替えができるようになっている。食事でも、勧められて初めて食べる食材でも自分の中で食べることができると判断したときは、次に勧められても抵抗することなく食べることができている。言葉を習得するために、「ようすのことば」と「うごきのことば」という絵本を購入し、自分でじっくりと読み込んで理解しようとする姿がよくみられている。

また、排便はほぼ毎日あり、自宅に設置した水素水を毎日400ml程度飲用。ほぼトイレで排便ができるようになった。下剤を内服することなく排便の問題も解消しつつある。身体能力も向上し、乗ることができなかったブランコも乗り、補助輪付きの自転車も乗っている。簡単な曲であればピアノも弾けるようになっている。

現在、本人専用の1週間のスケジュール表をホワイトボードに示している。用事が終わり自宅に帰ると、「〇(日付の数字)、保育園終わった。」などと言って、翌日以降の予定を自分なりに確認する姿がみられている。1週間の予定が示されていることで、「〇〇行くー。」という内容の癇癪はなくなった。

Q4.移植によってご自身の仲間となった腸内細菌たちを維持するため、移植後も心がけている生活習慣や考え方があればぜひ教えてください。

できる限り、バランスの良い食事を提供しようとしています。冷凍食品やレトルトなどの商品は、使用頻度を少なくしています。野菜を少しずつでも食べるように促しています。水が良いと知りましたので、こまめに水分摂取を促しています。排便は、毎日あるか必ず夫婦間で確認しあっています。

Q5.これから移植を行う方、移植を迷っている方にひと言お願いします。

ASDの場合、移植実施時期が低年齢の場合は、効果か成長か判断しづらいことがあります。親も対応の仕方を学ぶので、本人に起こる変化に一役買っているとは思います。いずれにせよ、成長が加速した実感はありますので、金銭的な問題がなければ移植をする価値はあると思います。

Q6.移植の便を提供したドナーへメッセージをお願いします。

どこのどなたか知る術はありませんが、見ず知らずの私たちの息子のために提供していただき誠にありがとうございました。

Q7.その他、ご感想やご意見・ご要望等何でもお聞かせください。

移植前の説明時に、移植費用だけでなく水素水の費用の提示があったほうがいい。ASDの低年齢児には、ペットボトル使用が多くなると思うので高額になる。3回の追加の移植を行ったが、実施例数が少ないので3回の根拠が明確ではなかったので、今後症例数を重ねたときに根拠が示せるとよいと思う。他の方がどのような食事や水分等を摂取されていたのかが知りたかった。腸内フローラ検査データの変化と共に情報が公開されれば、その情報の良い部分を取り入れて生かせると思う。

日々のアンケート入力をしていたが、事務局等から何かしらのアドバイスがあればよかった。毎日のアンケート入力もかなりの労力が必要。しかも、高額な値段を出しているので情報を日々渡すだけでなく、その情報の集約とフィードバックを1回だけでなく複数回あってよかったと思う。

また、効果がない可能性があると理解していたが、排便コントロールだけでも良好になるとかなり期待していた。しかし、実際は移植前と比較してもコントロールが不良となって毎日下剤を飲むことになってしまっていることが最も残念な結果であった。移植の度に、便が硬くなっていってしまったので、菌液の調整には何かしら反映できなかったのかと思う。

リーキガット症候群が起きなくなって、本来の便の状態に戻った可能性があると言われたが排便が出にくい状態が継続することは良いことではないので、色々な味でバリエーションを替えているとはいえ、毎日下剤を飲むのは本人も大変かと思う。

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