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移植により改善を認めた過敏性腸症候群3症例【総会直前チラ見せVol.4】

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2019.09.13

今回の学術大会テーマは、「腸内細菌から人類への手紙

これまで病原性のある感染源としてしか認識されていなかった細菌が、がんやアトピー、うつ症状、炎症性腸疾患など様々な疾患とかかわっているとして注目を集めています。

ただ、これらの疾患は現代になってから爆発的に増加した病です。


進化のスピードも適応力も最強の生命体である微生物から、私たち人類へ発せられた手紙、最後のメッセージのように感じませんか?

今日は、大阪府のかわい内科クリニックの川井先生をご紹介します。

川井先生といえば「とにかく気さく、とことん気さく」というイメージを持っているのですが、実際の現場ではどのようなことを重視されているんでしょう?

患者さまのお話をしっかりと聞くことです。コミュニケーションをとること、といってもいいかもしれません。こちらから積極的にお声がけをして、なるべく話しやすい環境をつくるように配慮しています。
重要なのは、患者さまのかかえる症状を正しく把握することです。そのために、言葉につまっているようであれば聞き方を変えてみたり、より詳細に話していただけるよう繰り返し質問をして話を掘り下げてみたりと、細かな確認をするようにしています。

おお〜。ウェブサイトを引用させていただいたんですが、めちゃいいこと仰ってる。
それでは、第3回総会への意気込みをどうぞ!

はい、医院前に1台分の駐車スペースをご用意しています。

あ、間違えて「駐車場はありますか?」の回答をコピペしてしまった。
今回は、過敏性腸症候群の症例を3例もご紹介くださるとか!

それでは川井先生の抄録をご紹介します。

腸内フローラ移植により改善を認めた過敏性腸症候群3症例

 これまで腸内細菌とは無縁と考えられていた多くの疾患に、腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)の関与が明らかになってきており、dysbiosis の改善が新たな疾患治療の道となり始めた。また、dysbiosis 改善の方法として糞便細菌叢移植(FMT)が世界各国で検討されているが、現時点ではその科学的基盤や有効性は十分証明されていない。

 過敏性腸症候群(IBS)は、本邦での有病率は現在14.2%と非常に高く、その治療には難渋することが多く、症状は患者のQOLを著しく損ない、患者と医療者を大いに悩ませる。また、ストレスと消化器症状悪化の相関係数が健常者より高いことがわかっており、特に現代のストレス社会では今後も問題となってくる疾患である。

 近年の研究で IBS ではIL-6, TRL-9, CDH-1 などの遺伝子多型が見出され、その病態生理に副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン1 (CRH1)の関与、すなわち脳腸相関があると言われている。最近は腸内細菌代謝産物の有機酸などがIBSの病像に影響し、IBSなど機能性腸疾患は、dysbiosisが関与しているという概念が追加された。しかし昨年、デンマークでIBS 患者での経口カプセルによるFMT の二重盲検スタディが行われ、プラセボ群で有意な改善を示したとのショッキングな論文が発表された。

 今回、我々の腸内フローラ移植によって IBS 患者のdysbiosis が改善し、下痢症状の明らかな改善をみた3症例を報告する。症例は男性3例で、すべて下痢型IBS で、それぞれのFMT 回数は3回が2例、6回が1例であり、FMT 終了後も改善状態が維持されており、そのうち1例は、FMT 終了後、徐々にさらなる症状の改善を見た。

 IBS に対する腸内フローラ移植臨床研究会所属の医療機関での2018年1月から2019年8月における腸内フローラ移植 施行実績は、現在治療中を含めて22例で、評価可能例での有効率は84.6%と非常に高い。

 FMTは、ドナー選定、移植菌液の作成方法、回数、期間、前処置などストラテジーの違いで治療効果は大きく異なり、我々研究会の腸内フローラ移植は、治療効果が高いと考えられる。

  今後さらに移植効率の高い方法の追求と、腸内フローラ移植の知見を積み重ねていきたい。

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