腸内フローラ移植で痩せるのか問題
内細菌と肥満・スリムさは非常に関連が深いと考えられます。
実際に、その人の持つ腸内細菌の種類・構成によって、太りにくい体質や特定の食べ物を代謝しやすい体質というのが決まります。
ジェフリー・ゴードンさんの肥満マウスと痩せマウスの便入れ替え実験が有名です。[1]
痩せることと、代謝を上げることと、健康な体つきになるということは別問題として考えたほうが良い可能性があります。
自分の便を使った移植で、ダイエット効果が
病的に太っている場合には、自分の便を移植することで体重減少の効果が見られるという報告がありました。
リバウンドを防いでくれる効果です。
ダイエット中は多くの人が頑張れる。
しかし、その後。
ダイエットに成功した人の大半が、リバウンドしてしまいます。
さらにダイエットで食事制限をしていた場合は、リバウンドで元に戻り、より太りやすい体になってしまうこともあります。
方法
今回の実験の方法は、90人の過体重な男女に3つのダイエット法を割り振って行われました。
- 健康的な食事ダイエット法
- 地中海式ダイエット法
…くるみを1日28g食べる - “グリーン”地中海式ダイエット法
…くるみを1日28g食べる、ミジンコウキクサのグリーンスムージーを飲む
すべてのグループはジムの無料会員権が与えられ、運動のガイドラインも与えられています。
平均年齢52歳の彼らが6ヶ月間、このダイエットに取り組みます。
平均8.3キロの減量に成功しました。
そしてこの実験には、リバウンド期間も含まれています。
最初のダイエット6ヶ月間の直後の自分の便を提供して、それを6ヶ月後から14ヶ月後の間飲むというわけです。
経口投与による胃酸での菌の死滅などの記載はありませんでした。
結果
3つのグループそれぞれにプラセボを設けて観察した結果、以下のような結果になりました。
自家便移植でリバウンド防止になったのか?
- 一般的な食事改善、地中海式ダイエットでは有意差なし
- “グリーン”地中海式ダイエットでは、自家便移植17.1%の体重リバウンドに対してプラセボが50%のリバウンドと、著しい効果
- 同じく”グリーン”地中海式ダイエットでは、ウエストの数値とインスリンのリバウンドにも効果
この結果には腸内細菌が深く関わっていそうです。
自分の便を移植して結果が出ているということは、ダイエットをした6ヶ月間が経過したあとの自分の腸内細菌の顔ぶれが変わっている必要があります。
被験者自身の腸内フローラを著しく変化させたのが、この”グリーン”地中海式ダイエットです。
代謝の向上、抗炎症作用にも明確な変化が
この実験には後日談として、
上述の実験だけでは、”グリーン”地中海式ダイエットの効果のみが浮き彫りになっていますが、実はどのダイエット法であっても自家便移植をすることで代謝の維持に役立っていたことがわかりました。
この報告では、3つのすべてのグループまとめて、プラセボよりも自家便移植において代謝維持の数値が良好です。
- レプチン(脂肪細胞から分泌される物質)の減少
- CRP(炎症マーカー)の数値減少
- インターロイキン6(炎症マーカー)数値の減少
- 総コレステロールの減少
実は、脂質異常症や糖尿病などの生活習慣病においては、まず体内組織で炎症が起こっていることがすでに様々な研究で明らかになっています。
食生活の改善で腸内フローラは変わる
この実験のすごいところは、食生活の改善で腸内フローラが変わることを示したところです。
プロバイオティクスを摂取したり、プレバイオティクスを摂取したり、腸活という名で腸内フローラの改善を図っている方は年々増えてきています。
しかし、「食生活では腸内フローラは改善しない」という認識が広がりつつあります。
「食生活だけでは、腸内フローラの変化を維持することができない」
今回、食生活の改善をした半年の間に変わった自分の腸内細菌たちをカプセル化して、ダイエット終了後も引き続き服用することで、代謝の維持や抗炎症作用が認められました。
これは、自家便移植によって「頑張った期間の腸内フローラを再現できている」と言えるかと思います。
過体重は、本人の意思の弱さだけではありません。
腸内細菌の構成、食品に含まれる抗生物質、処方される抗生物質、様々な肥満因子が指摘されています。