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症例別FMT過敏性腸症候群

移植体験インタビュー「自覚症状としてもフローラバランスの数値的にも変化はない」

過敏性腸症候群

2024.04.10

過敏性腸症候群に悩まされているN様。
1日に3~4回はトイレへ行かなければならない状態が2年ほど続いているそうです。

そんなN様に、腸内フローラ移植前のこと、移植後に起こった変化について伺いました。

【プロフィール】
疾患名:過敏性腸症候群
移植期間:2022年7月25日~10月4日 
移植回数:移植6回 
移植担当医療機関:ライフクリニック蓼科
移植後の診断:症状の改善を認めず

Q1.腸内フローラ移植を受ける前は、どんな症状でお悩みでしたか?

以前、腸の手術を受けてから、下痢が止まらなくなりました。1日に3~4回はトイレへ行かなければならない状態が2年ほど続いていたのです。体重が増えないことにも悩んでいました。

Q2.「移植を受けよう」と思った決め手について教えてください。

決め手は自宅からの距離です。腸内フローラ移植のことは、移植を決めた1年以上前から認識していました。インターネットで調べていた際に、腸内フローラ移植臨床研究会を含め、移植を行っている団体や医療機関を見つけました。続いて自宅から通える範囲にしぼりこんで探し、たどり着いたのがライフクリニック蓼科でした。

内科的アプローチから外科的アプローチまで試せるものは試したものの、どの治療でも症状が改善しないため、移植を受けようと決意。はじめから移植を目的に受診したので、「いきなり移植を希望される方は珍しい」と、先生にも驚かれました。持参した他院発行の診断書を見てもらったところ、「ほかの方法で改善が見られないようですので、移植に挑戦してみましょう」と、話がまとまったのです。

Q3.移植を受けてから、体にどんな変化を感じましたか?

移植後は、自覚症状としても、フローラバランスの数値的にも、変化はありませんでした。

はじめに行った検査で、自分の腸内細菌数が非常に少ないこと、フローラバランスのランクも悪い状態だと分かりました。そこでまずは、菌の数を増やす目標値を設定し、移植を始めたんです。

6回の移植を終えたのちも、トイレの数が少なくなったり、便が硬くなったりといった改善はなく、フローラバランスや菌の数についても期待した結果は得られませんでした。移植前と状態が変わっていないので、残念ながら移植してもらったよい菌が定着しなかったのでしょう。

Q4.移植中・移植後に取り組んだことはありますか?

糖質と小麦、牛乳などに含まれているたんぱく質の一種・カゼインを避けるよう、先生からアドバイスがありました。ざっくり言えば、日本の伝統的な食事がよい、というわけです。

ただ、小麦が入っていない食べ物となると、かなり範囲が狭まります。牛乳はやめてみましたが、小麦なしで糖質も控えるとなると、お米も糖質を含みますし、食べてよいものが思い浮かびませんでした。

男一人暮らし、自分で料理ができないので、「日本の伝統的な食事」を用意するのも難しい状態です。勤め先の食堂では魚はめったに出ず、お肉系のメニューばかりで、理想の食事とはほど遠い内容でした。そういった状況ですから、食事については取り組めていません。取り組んでいたら、冗談ぬきで死んでいたかもしれないと思っています。

最後に

5回目の移植の際に、おそらく6回目の移植をしても、効果を望むのは難しいだろうと思っていました。私の感覚ですが、先生や看護師も同じように考えていたようで、処置室にはそういった雰囲気がありました。そのためか、5回目の移植時に、『次の6回目で最後にしましょう』との結論になったんです。6回目の移植を終えてから行った最後の検査でも、数値の変化は表れませんでした。

このように、移植による変化を得られなかったので、私からは『改善が見られないケースもあることを承知で移植を検討したほうがよい』としか言えません。私も、望む結果を得られない可能性については覚悟して移植を受けました。それでも、期待には届かなくても、少しは改善するだろうと予想していたので、全く効果が得られないこの結果は想定外でした。

くり返しになりますが、変化が全くない結果もありえると知ったうえで、検討するほうがよいでしょう。研究会の皆さんには今後、治療の成功率(菌の定着率)を上げ、個人差を縮小するための研究を進めてもらえたらと思います。

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