今回は、第3回学術大会の基礎研究担当、シンバイオシス研究所の清水真 上席研究員のご紹介です。
臨床検査技師として、長年細菌を中心にヒトの体に関わってきました。患者さんと直接話す機会がないからこそ、菌たちとの会話を楽しんでいると、病原性のない「その他」の菌たちが愛おしく思え、腸内細菌が健康に寄与している可能性に思いを巡らせるようになりました。
師匠、シンバイオシス研究所のノリと違ってえらい真面目ですね。でも「菌たちとの会話を楽しんでいると」って、結構やばめ。
細菌たちは20分足らずで世代交代します。進化のスピードが人間とは桁違いで、彼らのおかげでヒトは遺伝レベルでの適応が追いつかない環境の変化にもなんとか対応できているんです。
今は、腸内フローラ移植菌液の開発を通して、臨床の先生方のお役に立てるように日々邁進しています。
清水研究員の抄録をご紹介します。
臨床応用における世界最高水準を目指して
1953年DNAの二重らせん構造の発見から50周年となる2003年に完了した「ヒトゲノム計画」。
はじまった頃は「なにげに無計画」などと言われ、ごく限られ且つ優遇された研究者だけが携わることのできる羨ましい特権でありましたが、当時のスーパーコンピューターに匹敵するパソコンが現れ、その研究は加速度的に進むこととなりました。
30年前、NHKスペシャルで放送された「驚異の小宇宙 人体」をご記憶の方も多いと思います。当時、70兆個といわれていた人の細胞が37兆個と半分程度に是正され、食品や医療など様々な分野における多くの常識を覆すことになり、私も大変驚かされました。
そのころ私は国立大阪病院(現在の国立病院機構大阪医療センター)で、便に出てくる虫の卵を検査していました。当時の細菌検査における便の検査は、主に下痢の原因菌の検出と体内にいる虫の検出が主流で、抗生物質は第一世代と呼ばれる初期のモノを処方されていました。来る日も来る日も便と向き合い、顕微鏡で覗く私の視界に飛び込んでくるほとんどの菌たちが検出の対象ではなく、毎度おなじみの下痢を起こさせる菌たちの検査が私の仕事でした。ある日ふと気づくと、報告の対象にならない様々な形をした小さな菌たち、いままではほとんど無視していた微かに震えおびえているようにすら見える菌たちが、愛おしくかつ可哀想に感じ始めていました。
ただの排泄物の主要メンバーとして扱うには数が多すぎる!人によってメンバー構成が違いすぎる!そう感じた私は、健常人の便と患者さんの便の比較から始めてみました。グラム染色により紫色やピンク色に染まった球菌や桿菌。その種類の多さと構成メンバーの違いは一目瞭然でした。苦手なリサーチもスタッフの協力を得ながら取り組み、なんと4世紀の中国で便を用いた治療が行われていたことを知り愕然としました。
20世紀以降の便移植で一般的に行われてきた方法は、生理食塩水で便を溶かし、フィルターで濾した菌液(イエロースープ)を腸に入れるという実にシンプルなもの。しかしいざ便移植の実験をしようと思っても、他人の便を自分の体に入れることへの心理的な抵抗感から協力者はなかなか見つかりませんでした。
そこで最初は、便の提供者本人に対して自身の便で精製した菌液を注腸方式で戻す移植を試しました。結果は全くと言っていいほど効果や体感は得られず、むしろ体調を崩す人さえ出てくる始末でした。
そこで様々な溶媒を試し、最終的に参加者が最も効果を実感できたのが現行の(秘密)でした。その(秘密)は我々研究会の専用(秘密)で精製されており、菌液を作る便の確保も専用ドナーバンクを併設し、世界最高水準の安全性の下、先生方に安心してお使いいただける菌液精製の一連の流れを整備いたしました。
菌液を作る便の確保も専用ドナーバンクを併設し、世界最高水準の安全性の下、先生方に安心してお使いいただける菌液精製の一連の流れを整備いたしました。
我々シンバイオシス研究所は便移植のパイオニアであり、モノづくりの技術者集団であることを常に意識しております。それを使ってくださる臨床の先生方に評価していただけるよう、ひいては少しでも多くの患者さんのお役に立てるよう「臨床応用における世界最高水準」をめざし、4年前あるプロジェクトをスタートさせました。人体の営みが小宇宙であるならば、細胞や菌たちは宇宙に散りばめられた星屑です。プロジェクトのコードネームは「スターダスト計画」としました。
総会では我々技術者が、臨床の先生方に向け開発した移植用菌液やそれを託した菌たちへの想いをご紹介します。
秘密多いぃぃぃぃううういぃぃぃ!
汚いやり口!
というわけで、秘密が知りたい皆さん総会に来てくださいまし。
清水研究員が人前に出る、数少ない機会です。
待ってます!