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腸内環境を整えてアトピーを改善する方法

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2019.09.12

はじめに

アトピー性皮膚炎の現状と増加傾向

アトピー性皮膚炎は、免疫系の異常反応によって引き起こされる炎症性の皮膚疾患です。近年、特に先進国において患者数が増加しており、世界的な健康問題とされています。この増加の背景には、都市化や食生活の変化、ストレス、環境要因の複雑な影響があると考えられています。

従来の治療法の課題と限界

現在、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン剤が主な治療法として使用されています。しかし、これらの治療法は一時的に症状を抑えるものであり、根本的な原因にアプローチするものではありません。

また、長期使用による副作用や依存性の問題も指摘されています。このような課題があるため、より持続的で安全な治療法の必要性が高まっています。

腸内環境への注目が高まる背景

近年、腸内環境と全身の健康との関係が注目されています。特に、腸内フローラと呼ばれる腸内細菌叢(マイクロバイオーム)のバランスが免疫機能に大きな影響を与えることが明らかになり、アトピー性皮膚炎を含む免疫関連疾患への効果が期待されています。「第二の脳」とも呼ばれる腸は、体全体の健康において重要な役割を果たしています。


腸内環境とアトピーの関係

腸内フローラ(腸内細菌叢)の役割と免疫システムへの影響

腸内フローラ(腸内細菌叢)は、体内に存在する約100兆個以上の微生物の集まりであり、消化・吸収だけでなく、免疫システムの調整に関与しています。

免疫細胞は体内のさまざまな場所に存在しますが、その約70%が腸に集中していると言われています。これは腸が体内外の異物や感染から私たちを守る重要な役割を果たしていることを示しており、腸内環境を適切に保つことは、免疫機能を維持するために不可欠です。

皮膚や腸内で共存している腸内フローラは私たちの健康を左右する最大の環境要因として注目されるようになっています。バランスの取れた腸内フローラ(腸内細菌叢)は、適切な免疫反応を促進し、過剰なアレルギー反応を抑制します。

腸内環境の乱れがアトピーに与える影響

腸内環境が乱れると、腸管の透過性が増加する「リーキーガット症候群」が発生し、未消化の食物や細菌が血流に侵入して免疫系を刺激します。この状態が慢性的に続くと、アトピー性皮膚炎の悪化や新たなアレルギー反応を引き起こす原因となります。

他にもアトピーの発症・増悪には、遺伝、環境、栄養などの複合的な要因が絡み合います。免疫バランス異常が起因ですが、上皮細胞の免疫、皮膚や腸管の自然免疫、制御性T細胞の関与も指摘されています。

このことから、皮膚や腸内で共存している細菌叢は私たちの健康を左右する最大の環境要因として注目されるようになっています。


腸内環境を改善する具体的な方法

プロバイオティクスとプレバイオティクスの摂取

アトピー性皮膚炎の病態には腸脳相関(Gut-brain axis)や腸皮膚相関(Gut-skin axis)が関連しているとも言われており、腸内細菌叢を考慮したプレ・プロバイオティクス、或いは食品を用いた予防法も研究されています。

プロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)は、腸内細菌叢を直接補充し、善玉菌を増やします。一方、プレバイオティクス(食物繊維やオリゴ糖など)は、腸内細菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促進します。

これらを含む食品(ヨーグルト、キムチ、バナナ、アスパラガスなど)を意識的に摂取することで、腸内環境の改善が期待できます。

生活習慣の改善とストレス管理 

睡眠不足やストレスは腸内フローラのバランスを崩し、免疫力を低下させます。適切な睡眠時間の確保や、リラックスできる習慣(瞑想、運動など)を取り入れることが重要です。

また、加工食品や高脂肪食を控え、バランスの取れた食生活を心がけることも腸内環境改善につながります。

腸内フローラ移植(腸内細菌叢移植)

特定の腸内細菌の増減がアトピーの病態に関与していることを示す研究が増えています。

その詳細なメカニズムの解明は未だされてはいないものの、腸内細菌叢が産生する代謝産物やサイトカインなどの生理活性物質を介して、皮膚のバリア機能に影響があることが示唆されています。

そこで、腸内細菌叢を改善する手段として最近注目されているのが、腸内フローラ移植(腸内細菌叢移植)英名FMT: Fecal Microbiota Transplantationです。

これは健康な人の腸内細菌を移植する治療法で、腸内環境の乱れが大きな要因となっている難治性のアトピー患者にとって、有望な治療法の1つとされています。


腸内フローラ移植の特徴とアトピー改善効果

実際の腸内細菌叢移植でのアトピー症状の緩和事例

近年の研究では、腸内フローラ移植(腸内細菌叢移植)がアトピー性皮膚炎の症状を大幅に緩和した事例が報告されています。

腸内フローラ移植臨床研究会の研究では重度のアトピー患者(30代女性)が腸内フローラ移植(FMT: Fecal Microbiota Transplantation)を受けた結果、移植後の腸内細菌叢のバランスの変化を認め、移植後約4ヶ月を経て皮膚症状の改善を認めた症例が報告されています。

  症例報告はこちらからご覧いただけます。

これは、腸内細菌のバランスを整えることで、炎症反応を抑制し、免疫システムの正常化が図られたと考えられます。

医師や研究者からのアドバイスと推奨

腸内細菌叢移植(FMT)は現在も研究が進行中であり、安全性や効果がさらに検証されています。具体的には、2023年に腸内フローラ移植臨床研究会にて腸内細菌叢移植(FMT)に関する特定臨床研究が実施されています。

腸内フローラ移植(FMT)を受ける際には、信頼できる医療機関での実施が推奨されます。また、日常的な腸内環境の維持は腸内細菌叢移植(FMT)後の効果を長持ちさせるために重要であるとも指摘されています。


まとめ

腸内環境を整えることの重要性

善玉菌の増加や腸管の健康維持が、炎症反応を抑制し、免疫系のバランスを正常化させることが分かっています。

アトピー性皮膚炎の根本治療を目指すには、「腸内細菌・腸・脳相関」の観点から、「脳内環境」も整えることでストレス耐性を高め、結果として腸内環境改善のみならず、全身疾患の治療効果を高めることが重要です。

選択肢としての腸内フローラ移植(細菌叢移植)への期待と今後の展望

腸内フローラ移植(腸内細菌叢移植)は、アトピー性皮膚炎の新たな治療法として期待されており、今後、さらに多くの研究と臨床試験が進むことで、その効果と安全性が確立されることでしょう。

腸内環境を整えるための食生活や生活習慣の改善とともに、腸内細菌叢移植(FMT)という選択はアトピー患者にとっての新たな希望となります。

新しい治療法を含めた根本治療に関心がある方は、まずは「食事とストレスの管理を行い腸内環境を整えながら、アトピー性皮膚炎の症状緩和を目指したい」と、お近くのクリニックへご相談されてみるのはいかがでしょうか。

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