自閉スペクトラム症のお子様のご家族の方に患者様の声をいただきました。
移植を終えて、よほど嫌なことがない限り、癇癪は引き起こされなくなり、他人や動物に対しての興味も深くなったと感じたと教えていただきました。

【プロフィール】
5歳 男児
疾患名:自閉スペクトラム症
移植期間:2022年2月7日~2月18日
移植回数:3回
移植担当医療機関:ルークス芦屋クリニック
Q1.当研究会の腸内フローラ移植を受ける決め手となった理由は何ですか?
海外の論文の内容と、子供に腸内フローラ移植をされた親御さんの体験談の内容。
Q2.移植申込から移植終了後まで、医療機関の説明やサポートは十分でしたか?
移植に至るまでの説明は十分で、納得して移植に臨むことができました。良くも悪くもドナーの選定やどのようなフローラを移植するかは先生に完全にお任せした感じです。
もし可能であれば、患者さんに対して、どのような菌を入れて、ターゲットとなるフローラバランスを共有し、どのようなフローラを取り入れるかを一緒に検討していただくフローラ・レビューまでして頂けると、結果に対してより納得感が得られると思います。
(今回、私どもは納得できる成果があったのですが、思ったより成果が出ない患者さんもいらっしゃると思いますので)

Q3.移植を経て、お悩みのご症状がどのように変化しましたか?
移植後からすぐに、気持ちに余裕が生まれたような感じがしました。少しの変化や日常のルーティーンが達成できなかった際の激しい癇癪がスッと消えました。強いストレスを感じた際にはやはり癇癪を起すことはありますが、その頻度は激減し、よほど嫌なことがない限り、癇癪は引き起こされなくなりました。 他人や動物に対しての興味も深くなったと感じます。
移植前は自分が一番で、それ以外の人にあまり興味を示しませんでした。移植後は、親や友達に興味を示し、笑顔で近づいていくことが多くなってきました。今まで全く興味の無かった犬や猫にも、撫でるために近づいたりする変化がありました。
また他人に興味が出てくることの変化として、親の言葉のマネ、動きのマネをしてくれる様になりました。いままでどんなにモノマネを促しても、聞き入れてくれなかったのですがこの変化はとても大きく、物の名前や要求(ちょうだい、痛い、等)、動作(だっこ、座って 等)の言葉で自分の気持ちを少しずつ表現できるようになってきました。移植前は、伝えたい気持ちはあるのに言葉はほぼ使うことができなかったので即、癇癪に繋がっていました。
何かに挑戦しようとする気持ちも出てきました。
例えば、歩道橋が苦手でいつも渡ろうとすると癇癪を起こしていたのですが、移植後は震えながら自分で渡ろうとする変化がありました。 いろいろな変化が出てきましたが、突き詰めると強力なストレス解消だと感じました。 癇癪を起こしてしまうというのは気持ちに余裕が無いとき、強いストレスを抱えているとき(大事な試験前、試合前など)であり、そういう時には新しいことを受け入れたくないと思います。
フローラ移植をした際にそういった問題を解消することができ、そのストレスから解放されることでこのような変化が出てきたのかなと感じました。

Q4.移植によってご自身の仲間となった腸内細菌たちを維持するため、移植後も心がけている生活習慣や考え方があればぜひ教えてください。
勧めて頂いたサプリメントの継続接種と腸内細菌に良いとおすすめされた根菜を多めに献立を組んでいます。
Q5.これから移植を行う方、移植を迷っている方にひと言お願いします。
自閉症児のご両親へ。
今回、私は自閉症児の息子の為を思って腸内フローラ移植を決断いたしました。 結果として、彼の症状が改善し、火のような癇癪は激減しました。 これは息子だけでなく、私たち両親の生活もとても改善されました。 決まった時間に睡眠をとることができ、テレビも見れるようになり、 少しずつお出かけができる範囲も増えてきました。
何よりこれからの自分たちの生活が明るくなり、希望が持てるようになってきました。 息子の為に移植を行ったのですが、結果的に家族全員の生活が改善されており、自分は移植して本当に良かったと感じています。 しかし、移植は高額であり、成果も確実ではありません。 軽々しくおすすめをするつもりはありません。
だからこそ、自分はどんな結果でも納得できるように、海外の論文や専門書籍を読んだり、専門の先生方に交じって腸内フローラ移植臨床研究会の学術発表会に一人で参加したりと素人ながら一生懸命勉強して、最後に先生に相談して決断しました。 どうか、移植を迷われている方は簡単に「やる」「やめる」を決めるのではなく、しっかり考え抜いて、とことん先生に相談して頂くことがよいと思います。

Q6.移植の便を提供したドナーへメッセージをお願いします。
移植後に息子の癇癪が激減し、私たちの生活は大きく改善しました。
本当にありがとうございました。
ドナーに選ばれるのは一握りの本当に健康的で穏やかな感情の持ち主と伺いました。 腸内フローラについて調べるほど、このフローラを維持できることが、どれ程すごいことか分かるようになってきました。
いままで通り、健康で豊かな生活を維持して、移植を通じてフローラ・チルドレンがどんどん増えていくことを期待しています。
Q7.その他、ご感想やご意見・ご要望等何でもお聞かせください。
最新の情報(世界的な技術の進展、日本の法律の変化等)を共有し続けてほしいです。 また、移植後の患者に役立ちそうな情報等も共有頂きたいです。